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薬剤師・杉本 忠嗣が考える薬と体、世界情勢のこと(ブログ)

中国、GDP経済成長率5.3%の怪(3):ピークチャイナ。

2024-05-04
国内需要減で、海外市場へダンピング輸出も。
日経(2024年5/3)大機小機
日経(2024年5/4)朝刊
日経(2024年4/25)永守重信
BS日テレ20240425
BS日テレ20240425
読売(2024年4/8)
BS日テレ20240425
BS日テレ20240425
日経(2024年4/21)中国総局長桃井裕理
毎日(2024年4/17)
「ピーク・チャイナ」なのか 大機小機
2024年5月3日 2:00 

「われわれには、国家統計局がついている」。中国のブラックジョークだ。手を尽くしても経済が好転せず、悲観ムードが漂うなか、誰言うともなく「われわれには……」。

国家統計局が、4月に発表した1-3月の実質国内総生産(GDP)は、前年同期比5.3%増。若年失業率が高止まりし「卒業」が「失業」に直結する若者があふれ、給与の未払いや賃下げが横行するなかでのこの数値。統計局の肩入れを疑いたくなる。

その統計局にも限界があるようだ。2023年の実質GDPは5.2%増だったが、ドル建ての名目GDPは、人民元安を映し29年ぶりのマイナス成長。世界経済に占める中国のシェアも、21年の18%強をピークに2年続けて縮小し、17%を割った。

国際通貨基金(IMF)元チーフエコノミストのケネス・ロゴフ米ハーバード大教授が「ピーク・チャイナ・ハウジング」と題した論文で不動産バブルの警鐘を鳴らしたのが20年8月。翌月、恒大集団の経営危機が表面化した。

前政権から引き継いだ「バブル」の崩壊が、経済悪化の主因だとしても、習近平(シー・ジンピン)政権の「改革開放」の〝逆走〟が、それに輪をかけた面がある。

鄧小平氏が始めた改革開放政策は、突き詰めれば、中国共産党と内外の資本の共存共栄の勧めだった。習氏は「国有企業は、より強く、より優秀に、より大きく」と、その肩を持ち、民営企業と外資企業には、社内に「共産党委員会」の設置を押しつけた。

ハイテク企業のアリババ集団などは罰金を科されて勢いをそがれ、カントリーリスクを察知した外資企業の中国脱出が、止まらない。

バブル崩壊に付きものの金融危機は、株式市場の暴落、信託会社の破綻、地方融資平台の資金繰り悪化と、徐々に深まっている。だが、習氏の「子飼い」で固め、経済の司令塔を欠く指導部は「なすすべを知らず」の体たらくだ。

経済再建には、不良債権処理が欠かせず、それには時間がかかる。その間も中国の人口は減り、高齢化が進む。

チャイナ・ウオッチャーの多くが、いずれ中国のGDPが米国を抜くと予想してきたが、今は中国の歴史的台頭が終わった、と見る「ピーク・チャイナ」論者も増えた。

習政権が続けば続くほど、その確率が高まる。

(手毬)


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